OWSで知っておきたい水中環境の特性


プールで行われる競泳と異なり、OWSは水温や浮力といった水中環境によって、コンディションが左右されます

ここで書いている内容は、筆者自身の理解と体験に基づくものです

教科書的な網羅ではないですが、OWSを続ける上で最低限知っておいて欲しいことに絞っています

その上で、自分の体格や経験、レース条件に合わせて、どう備えるかを考えてもらえればと思います


OWS競技における水温と体温調節

学校の水泳授業でぽっちゃり体系の子は、割と平然としているのに、痩せ型の子が唇を真っ青にしてガタガタ震えていた

なんて事、よくあったのではないでしょうか

脂肪も筋肉も少ない人は体温が低下しやすい

よく知られていることですが、OWS大会で特に気をつけたい選手は

成長過程(中学生くらい)にあり筋肉量が少ない選手

競泳が速い選手の中には、水の抵抗を小さくしてエネルギーをあまり使わずに、効率良く泳いでいる選手がいます

とても素晴らしく、誰もが目指したい泳ぎです

しかし、効率良く泳いでいるが故に発熱量が少なく、低水温環境下でのOWSでは不利になる事もあります

レース序盤は速いペースで泳げていても徐々に体温を奪われて、低体温に陥り泳げなくなる

実際に日本選手権トライアル選手の中でもこの様な事は起きています

対策としては、体温を奪われるよりも多く発熱して泳ぎ続ける事だけど、現実的にはオーバーペースになり難しいです

そのため、体づくりが重要になってきます

長距離を泳ぎ続けるOWSでは体内に蓄えているエネルギー量も重要な要素となるため、筋肉、脂肪の量を調整してタフな体づくり必要になります



一方、夏季には猛暑の影響で高水温環境下のOWS大会も多くなっています

OWS競技規則では水温31度を超えると開催出来ない規定となっていますが、水温30度でも5kmを泳ぐと熱中症の危険があります

運動による発熱で体温が上昇していきますが、水温が高いために放熱することができづらくなります

過去には世界レベルのOWS大会で高水温状況下での事故が起きています

2010年10月、OWSワールドカップの10kmレース中にアメリカのOWS代表選手が亡くなっており、死因は複数の要因が絡んでおり、極度の暑さの中での熱疲労や心臓発作の可能性が指摘されています

低水温では有利であった体型が熱をこもらせる原因になる事もあります

一般選手では、泳力不足からウェットスーツを着用する選手もいますが、高水温に対する危険性を理解した上でレース前、レース中の給水対策、運動量を抑えたレース展開等、対策を検討してレースに臨んでもらいたいと思います


水温への対策は、これが正解というものはありません

給水方法の対策はありますが、選手ひとり一人の水温耐性、運動量、体型によるところが大きいため、レース経験を積む中で各自で考えて対応していくことが望まれます

OWS競技における浮力

OWS検定には、立ち泳ぎの項目があり、検定を受ける方の中には苦労されている方もいます

足裏で水をいかに捉えて揚力(体を水中で持ち上げる力)を得るかに注目されますが、実はそれだけではありません

浮力は、体の体積(水を押しのけた量)に比例するので、体が大きい人の方が大きな浮力を得ています

水中で留まった状態では体の体積を大きくする事で浮力を大きくする事ができます

そんな事できない。と思いがちですが、要は呼吸で肺を膨らまし、体積を大きくするということです

そして、肺に溜めた空気が浮袋となり、さらに立ち泳ぎが楽になります

この事はOWSのレース中にも使えます

肺に空気を溜め、水中の高い位置で泳ぐ事で水の抵抗を減らせます

呼吸については、他の記事で説明しますが、しっかり吸うこと、肺に空気を溜めておき、次にしっかり吐いて酸素を確実に取り込むことが浮力を得ながら泳ぐコツです


次に海水と淡水について、OWSは海で行われる大会が多いので海に慣れてしまうと湖の様な淡水環境で泳ぐと体が沈み、水が重く感じます

これは、どの選手も同じ環境なので浮力という点では対策のしようがないのですが、体を浮かせる事については、他の要素を使います

それは、前方の選手を利用してのドラフティングです

前方の選手の引き波に入ることで引っ張られる力が働き、楽に泳げることはよく知られていますが、前の選手の引き波は自分の体の下方にも流れていくので揚力が生じます

勝負に勝つためには、積極的なレースが望まれますし、いつまでも他選手の後方を泳いでいては強くはなれませんが、楽に泳ぐという観点からは使えるものは使った方が良いです

OWSは、周囲の環境に適応して競うスポーツなので水中環境の特性をよく理解して、レースでの駆け引きをうまく行ってもらいたいと思います

まとめ

OWSでは、この記事で述べた水温、浮力に加え、潮流や波、周りの選手といった様々な環境要因が泳ぎに影響します

競泳が速い選手が有利であることは間違いないですが、それでも必ず勝てるわけではありません

環境への適応力、判断力が問われる点こそがOWSの魅力のひとつでもあります

記事を読んで答えを求めるのではなく、理論を知った上で経験を積み、自分なりの対策を考えながらOWSを楽しんでもらいたいと思います



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