OWSにおける水中抵抗

【OWSにおける浮力と重力のバランス ― 身体組成と泳姿勢】の記事で抵抗を減らし、労力を小さく長距離を泳ぐ姿勢について書きましたが、この記事では、水中ではどの様な抵抗があるかについて整理していきます

抵抗には、造波抵抗、摩擦抵抗、圧力抵抗の3種類があり、それぞれについて、対応策をまとめています

造波抵抗

水の中を泳ぐと泳者の前方にある水が押し上げられて波が生じます

この押し上げられた波は重力によって元の位置に戻ろうとするため泳者を押し戻そうとする力が働きます

これが造波抵抗です

OWSでは海の波も造波抵抗となり、様々な方向から波や潮流(海面の昇降に伴って生じる海水の水平方向の移動)の影響を受けます

正面からくる波への対応策は、水面下へ潜ることです

スタート直後、海岸に近い場所は水深が浅いため波が大きくなります

沖に向かって泳ぐ際に大波が来た場合、波のエネルギーが最も大きい水面を泳いでいると押し戻されてしまいます

この様な時は、エネルギー量が小さい水中に潜ることで波をやり過ごすことができます

この様な場面は少ないと思いますが、知らないと対処が難しいため覚えておきましょう


潮流に対しては知っておくとレース戦略に生かせる方法があります

前方からの抵抗(波、潮)には、ピッチを上げて推進力を高めて泳ぐ

誰もが苦しい場面なので頑張りどころですが、ドラフティングを使って前の選手の影で力を温存するという戦略があります

側面からの抵抗(波、潮)には、押し返そうとせず、わずかに角度をつけて背中で流れを受けて進むことで、流れを前進方向に利用できます

これはボートや急流救助で使われる考え方と同じで、流れに逆らわず進むための技術になります

後方から来る波は抵抗ではなく、追い波となり楽に泳ぐことができます

大きなフォームでゆったり泳ぐ事で力を温存しながら進むことが出来ます

摩擦抵抗

水と身体表面との摩擦の抵抗になりますが、分かりやすいのは水着です

一般的にシャカシャカ水着と呼ばれている表面低抵抗の素材が使われている水着は摩擦抵抗が削減されます

日本水泳連盟のオープンウォータースイミング競技規則の水着に関する規則では

【水着(男女とも)は、首を覆わず、肩を越えず、足首より下に伸びていてはならない。】

とありますので体の多くの面積を水着で覆うことができるため、摩擦抵抗の低減効果が大きいと言えます

一方で多くの面積を覆う水着ではフィット感が気になる選手もいます

長時間のOWSレースでは大きなストレスとなるため、色々な水着を試して自分に合う水着を見極める必要があります

圧力抵抗

秒速1.5秒を超える速い速度(100mを1分6秒より速い)では、水の流れが泳者の頭にぶつかり頭部の前面の圧力が高くなり、後頭部では渦が生じて圧力が低下します

この圧力差によって抵抗が生じるとされています

感覚的に分かりにくいですよね

人間は複雑な形をしているので水中を進む時に水の流れを乱してしまう 水の流れが乱れるとスムーズに泳げなくなる と言い換えれば少し理解しやすいでしょうか?

圧力抵抗を減らすためには、 頭を水中に入れて、足が沈まないようにする

推進方向に対する投影断面積を小さくすることで水の流れを乱しにくくなり、抵抗が少なくなります

要はストリームラインに近い泳ぎを心がけましょう

イルカのように流線型になって、静かに速く泳ぎたいものです

まとめ

造波抵抗、摩擦抵抗、圧力抵抗の説明と対応策について整理しました

圧力抵抗は難しかったですね

OWSでは造波抵抗の影響が大きく、波や潮流、周囲の選手との位置関係がレース展開を左右します

抵抗を完全に無くすことはできませんが、どの抵抗の影響を受けているか理解することで泳ぎを変化させて無駄な労力を減らすことができます

抵抗の影響を意識しながら自分の泳ぎを振り返り、水着による違いを体感しつつ、波や潮流への対応を経験として積み重ねていくことが、OWSでは重要になります

ぜひ、刻一刻と変化する自然環境の中を泳ぐ経験をたくさんしていきましょう

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