なぜ、同じように泳いでいるつもりでも、楽に泳げる人とすぐに疲れてしまう人がいるのでしょうか?
OWSでは、その違いが泳力だけで決まるとは限りません
水中で働く浮力と重力のバランスが、泳ぎの感覚を大きく変えています
この記事では、OWSのように長距離を泳ぐために重要となる、浮力と重力のバランスについて整理します
推進力を高める話ではなく、水中で体を安定させるための考え方を中心に見ていきます
身体組成
「脂肪が多い人は、水に浮きやすいのか?」
多くの人が何となく「YES」と思っていますが、実は少し違います
では、比重を見てみましょう
真水 1.0 (水温4℃)
海水 1.028(水温4℃、塩分濃度3.3%)
脂肪 0.94
筋肉 1.06
プールにおいても体脂肪の高い選手は浮きやすく、逆に筋肉質の選手は比重1.0を超えるので何もしないでいると沈みやすいです
とは言っても、体脂肪の高い選手でも体全体の比重は1.0を超えるので、水に浮いた状態から、息を吐いていくと・・・
当然、沈んでいきます
反対に息を吸って、肺にたくさん空気を溜めると浮力が大きくなり、水面ぎりぎりに浮くことができます
水中環境の特性でも書きましたが、OWSで泳ぐ際には特に呼吸を意識する必要があります
苦しくなって浅い呼吸を頻回に繰り返すと肺に空気を溜めることができずに浮力が小さくなり、体が沈みやすくなります
また、浅い呼吸は肺での酸素と二酸化炭素のガス交換の効率が悪くなるため、しっかり息を吐いて、次にしっかり空気を肺まで吸い込むことが浮力を得ること、肺でのガス交換の両面で重要になります
浮力と重力
水泳が苦手なお子さんが、水を怖がる原因のひとつとして、水中での体の不安定さが挙げられます
この不安定さは浮力と重力、それぞれが作用する点(浮心と重心)のズレによって起こります
人が水中で”気をつけ”の姿勢で浮かんでいる時
浮心の位置は、空気を多く溜める事ができる肺のあたり
重心の位置は、足に比重の高い筋肉があるため、おへそのあたり
この位置のズレにより、体に回転する力が働き、不安定になるというわけです
すでに泳げる皆さんにとっては、無意識のうちにこのバランスを取っていますが、スプリント(短距離)とディスタンス(長距離)では泳姿勢の取り方が変わってきます
短距離では、腕を使って力強く水をかくことで大きな推進力を得ています
水をかく力は後方に作用して、その抗力で前方へ進んでいます
しかし、水をかく力は体の下、水中の深い方向にも作用するので上半身が持ち上げられます
このままでは体が起き上がってしまい、水の抵抗が大きくなってしまうので、キックを打つことで下半身が下がるのを防ぎ、体の水平を維持しています
長距離では、出来るだけ力を使わずに長時間泳ぐ必要があります
そのためには水の抵抗を小さくする必要があり、体を水面に対して水平の姿勢になるようにします
この時に意識して欲しいのが重心の位置です
筋肉が多い足は沈んでいくので、重心を出来るだけ浮心のある胸の位置に近づける必要があります
入水する腕の位置を深くする
胸を水に「預ける」ように体重をのせる
この様な方法で重心を胸の位置に近づけることができます
言葉で言うのは簡単ですが、ドリル練習で色々と試しながら、重心が胸の位置に近づいているか、足は脱力した状態で浮いているかを確認してバランス感覚を身につけていく必要があります
まとめ
水泳では、前へ進む力ばかりに意識が向きやすいですが、水の抵抗を小さくすることが重要な要素となります
下半身が沈み、上体が起きた姿勢では、水を強くかいても抵抗が増えるだけで、楽に泳ぐことはできません
がむしゃらに推進力を上げようとすると、結果的に疲労を大きくすることも多いです
水中では、浮力と重力が常に体に作用し、そのバランスは人それぞれ異なります
だからこそ大切なのは、自分の体が水の中でどういう状態でいるかを感じ取ることです
呼吸の深さ、腕の入水位置、胸への加重、足の位置、脱力できているか
それらを通して、体が水面に対して水平に保たれているかを感じながら泳いでみましょう
OWSはまず、長い距離を最後まで泳ぎ切ることが目標です
長く泳ぎ続けるためには、強い推進力を得ることよりも、正しい姿勢を保つことを意識していきましょう