OWS10kmでは、レース中の給水が競技結果を左右します。
一般選手が給水竿(フィーディングポール)を使用できる大会は限られますが、すさきOWS10kmでは家族や友人による給水サポートが可能です。
しかし、給水竿は市販されておらず、製作方法もほとんど公開されていません。
そこで本記事では、実際にすさきOWS10kmで使用した給水竿(フィーディングポール)の作り方を中心に、競技規則や大会当日の使用方法まで詳しく解説します。
給水竿(フィーディングポール)とは
給水竿(フィーディングポール)は、OWS10kmなどの長距離レースで、桟橋から選手へドリンクや補給食を受け渡すための道具です。
ポールの先端にドリンクホルダーを取り付けることで、給水時の減速やタイムロスを最小限に抑えながら、ドリンクや補給食を受け取ることができます。
国内では、日本選手権、オーシャンズカップ、インカレ、すさきOWS10kmなどで使用されており、「給水担当者(以下、給水コーチ)」がフィーディングポールを使って選手をサポートします。
給水コーチの役割は、ドリンクや補給食を渡すだけではありません。
周回数や順位、前後の選手とのタイム差、レース展開など、選手自身では把握しにくい情報を伝えることも重要な役割です。
また、「このままでいい」「あと1周」などの短い声掛けは、10kmという長時間のレースを泳ぐ選手にとって、大きな安心感や力になります。
給水竿は、選手と給水コーチをつなぐ重要なアイテムです。
給水竿(フィーディングポール)の競技規則
フィーディングポールを製作する前に、2026年のOWS競技規則を確認しておきましょう。
競技で使用するフィーディングポールには、長さや目印となる旗、給水方法などに関する規定が定められています。
以下は、2026年OWS競技規則(World Aquatics Competition Regulations)に基づき、フィーディングポールに関する主な規定を紹介します。なお、日本水泳連盟が主催・公認する大会では適用規則や運用が異なる場合がありますので、出場する大会の要項も必ず確認してください。
- フィーディングポールは、伸ばした状態で5m以下であること。
- 競技者は、フィーディングプラットフォーム(桟橋)またはエスコートクラフト(伴走艇)から投げられた栄養物(その他の物も含む)を受け取ってはならない。(4.4.3)
- チーム旗は30cm×20cmを超えてはならず、硬い縁や重りその他の物品が追加されていない布製でなければならない。(4.4.4)
- 競技者は、水着内部を含め、競技中にジェルやその他の包装された栄養補給物を携帯してはならない。(4.4.2)
国内大会では桟橋からフィーディングポールを使用して給水を行うのが一般的ですが、競技規則では給水方法や補給方法についても定められています。
特に2026年の競技規則改定により、競技者によるジェルの携帯が禁止されたことから、10kmレースにおける補給方法は今後の運用が注目されるポイントの一つです。
給水竿(フィーディングポール)の作り方
日本水泳連盟のホームページでは、給水竿(フィーディングポール)の作成例が紹介されています。
しかし、固定方法は接着剤やビニールテープ、紐などを用いる簡易的なものであり、10kmレースで繰り返し使用することを考えると、耐久性に不安を感じました。

そこで本記事では、
モセキMS(モセキマスターズスイミング/スポ少モセキOWSザズーミーズ)
代表・大内正純さんが考案された給水竿を参考に、さらに加工を簡略化した作成方法をご紹介します。
この給水竿は、2025年すさきOWS10kmで実際に使用しましたが、強度に問題はなく、現在も継続して使用しています。
使用から1年経過しステンレスカップには若干の錆が見られますが、使用には支障ありません。
材料費も5,000円以内で製作できるため、すさきOWS10kmへ出場される方は、ぜひ製作して活用してみてください。
材料、加工に必要な道具
・伸縮式玉網(全長約5m)
【プロマリン(PRO MARINE) 玉網 ブルーベイ磯玉セット 540 プロマリン 磯玉 セット】
・ステンレス製カップ 【ダイソー ステンレス カトラリーラック】
・針金


・クリッパーまたは金鋸
・電動ドリル
・ペンチ
作成手順
① 玉網フレームを切断し、固定ネジ部分のみ残す。

切断する部分は、赤い線のとおり(固定ネジ以外は使用しません。)

② ステンレス製カップに①で切断したネジが入る大きさの穴を開ける。

③ カップに固定ネジを通し、針金で結着する。
(竿に固定ネジをねじ込むことで締めつけ出来ますが念のため針金で結着しています。)

④ 竿にカップを取り付ける。
(竿の取付部がゴム製なのでカップに取り付けたネジを強く締め込むことが可能)

⑤ 竿の長さ調整(カップを含め5m未満)
竿のお尻部分(グリップエンド)のキャップを外し、竿を後方へ引き出す。
竿の後端にビニールテープを数回巻き、ストッパーとして固定する。
その後、竿を元に戻してキャップを取り付ければ、竿がそれ以上出てこなくなる。

⑥ 竿を引き出し、全長が5m未満を確認して完成

チーム旗の作成について
2026年OWS競技規則では、チーム旗は30cm×20cmを超えてはならず、硬い縁や重りその他の物品が追加されていない布製でなければならないと定められています。(4.4.4)
私が2025年すさきOWS10kmで使用した経験では、黄色の旗では泳いでいる選手からの視認性はあまり良くありませんでした。海面の反射や距離を考えると、蛍光色の黄緑やピンクなど、視認性の高い色を使用することをおすすめします。
また、大規模な大会では他チームと旗の色が重なる可能性もあるため、蛍光色の布に黒色の布を組み合わせるなど、色や模様で差別化すると識別しやすくなると感じました。
一方、すさきOWS10kmは参加者が比較的少なく、レース中も選手がばらけるため、蛍光色の単色旗でも十分識別できると思います。
給水竿(フィーディングポール)の事前点検と使用方法
フィーディングポールは完成したら終わりではありません。
大会前に必ず点検を行い、実際に給水する状態で使用感を確認しておきましょう。
事前点検
フィーディングポールは、500mlペットボトルに半分程度の水を入れ、実際の給水時と同じ状態で全長5mまで伸ばして確認します。
5mまで伸ばしたフィーディングポールは大きくしなりますが、選手は桟橋よりも低い位置を泳いでいるため、このしなりによってドリンクカップがちょうど選手の前まで下がり、スムーズに給水することができます。
また、カップの固定状態や針金の緩み、各ジョイント部の緩みがないかも併せて確認しておきましょう。

使用方法
今回作成したフィーディングポールには肩掛けベルトが付いているため、小柄な方でも比較的扱いやすくなっています。
2025年すさきOWS10kmでは、妻が給水サポートを担当しました。
レース前半は肩掛けベルトを使用していましたが、扱い方に慣れた後半は肩掛けベルトを使わず、竿だけでも十分に給水サポートを行うことができました。
大会当日の検査
すさきOWSでは受付時にフィーディングポールの検査が行われます。
主な確認項目は、フィーディングポールの長さが5m未満であることとチーム旗の大きさです。
検査に合格すると、フィーディングポールに検査済証が貼付され、その後レースで使用することができます。
【後日、写真をアップします🙇】
まとめ
フィーディングポールは市販品がなく、作り方に関する情報も多くありません。
しかし、材料費5,000円以内で製作でき、特別な技術がなくても十分実用的なフィーディングポールを作ることができます。
今回ご紹介したフィーディングポールは、2025年すさきOWS10kmで実際に使用し、強度や使い勝手に問題なくレースをサポートすることができました。
10kmレースでは、給水や補給だけでなく、家族や友人からの声掛けやレース状況の情報提供も大きな力になります。
フィーディングポールは、選手とサポートする人をつなぐ大切なアイテムです。
これからすさきOWS10kmへ挑戦される方は、ぜひ自分だけのフィーディングポールを製作し、レースに活用してみてください。
